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モノにココロを宿らせるには-『人の心は読めるのか?』-

ゼミ教授から卒業時に頂いた本
「人の心は読めるのか?」
原題「Mindwise: How We Understand What Others Think, Believe, Feel, and Want」
が面白すぎる。

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人の心は読めるか?

人の心は読めるか?

 

 

 「他人の心を読む」というのは「タイムトラベル」と並んで、人間が最も持ちたいと思っている超能力である。という出だしから、でも実際僕らは”どれだけ人 の気持を読めるのか?”また”気持ちを読めるとどのくらい思い込んでいるのか?”みたいな心理学的な話からスタートしてます。
 
 特に面白かったのは第四章「人はモノの”心”をいつ感じるのか?」
ビジネス書ではないのでもちろん手法に落ちたりはしていないけど、なぜ僕らは掃除機のルンバに心を感じるのか?(実際購入者の7割が名前をつけているらし い)や、9.11の爆炎の中に悪魔の顔を感じたり、車に頼むよ−と言っておだてたり、市場の株価の上下を「怒っている」や「取り戻そうとしている」といっ た擬人化をしてしまう理由など……

 思い返すとAIBO(犬型ロボット)に愛着を感じる瞬間は足が故障してしまったり(実際所有者が「いまこの子足くじいちゃってるんだよね。」と表現している。)
今のところ狙って擬人化したもの、siriやWindowsのイルカ、pepperくんなどはあまり愛着を感じられていないけど、プロダクトやサービスの 行き着く先って心を宿らせる、宿らせるというより”宿っているとユーザーに思わせる”か否かが大事なんだろうな−とか、色々と示唆に富んだ本でした。
 
 個人的には企業とか経営でも擬人化って必要だと思っていて、だってそうしないとミスが許されない。教育とかの未来だと「もっと失敗していいんだよ!」「失 敗から学べるんだよ」って叫ばれてるんだから、法人も”人”として捉えて、何かミスがあっても「あーしかたないよなそういうヤツ(法人)だし……」って思 われるくらいのが理想だとは思ってます。『PLUTO』(プルートウ)で鉄腕アトムが目覚めなかったのはヒトの感情バランスが完璧だったから。完璧なバラ ンスの個性がありえないというように……まぁだからこそ企業は道理に反した事が一番許されないと思うんだけどね。
 
 2年間とはいえデザイン思考の名のもとにユーザーインタビューやエスノグラフィーを繰り返し、日がな一日「この人は何を考えているんだ……」と苦悩した し、4月からもひたすらユーザーの心を捉えなきゃいけない仕事なわけで、最後を飾るにふさわしい本だった(੭ु˙꒳˙)੭ु⁾⁾

 タイトルの「人の心は読めるのか?」というタイトルがちょっと合わない気がして原題「Mindwise: How We Understand What Others Think, Believe, Feel, and Want」を調べたけど、確かに「ヒト」に限定はせずに"Others Think"「心」とは何か?それが何でどう僕らは感じていてどう扱っているのか?っていう本でした。
 
卒業までに本の百選まとめたいなー……(あと一週間切った。)